「風」の日めくり                     日めくり一覧         
定年後に直面する体と心の様々な変化は、初めて経験する「未知との遭遇」です。定年後の人生をどう生きればいいのか、新たな自分探しを通して、終末へのソフトランディングの知恵を探求しようと思います。

人間は超知能AIと共存できるか 26.6.18

 世の中は、イラン戦争の終結とワールドカップで持ち切りだが、新聞の切り抜きを眺めながら、高市政治の実体に関しては、もっと本質に迫る記事が読みたいものだとしきりに思う。彼女の取り巻きを形成している、いわゆる右翼保守層の方だけを見て、受けねらいの政策を繰り出す薄っぺらな政治姿勢。批判にむきになって後先考えずに、言い逃れや開き直りで事態を悪化させる未熟さ。以前、安倍首相が登場した時には、46回も「見せかけと実体」などのコラムを書き続けたものだが、メディアにはもっとしつこく政治家高市の「正体」を暴いてほしいと思う。

◆「超知能AIをつくれば人類は絶滅する」についての問答
 それはそれで、いつか書きたいとは思うが、今回は、前回に紹介した本「超知能AIをつくれば人類は絶滅する」をどう評価すればいいのかを書いてみたい。最近、公開が禁止されたAI(システムの脆弱性を瞬時に探し出す)「クロード・ミュトス」に関する情報などを見ていると、AIの急速な進化がもたらす深刻なリスクが少しずつ認識されて来たようにも感じるが、このまま、ビッグIT企業が競争でどこまでもAIを進化させて行ったらどうなるのか?今の何万倍も高度な超知能AIが出現したら、気づいた時には、本当に打つ手なしの状態になるのか?   

 この本の内容については、私なりに感じた疑問点もあって、これはAIに聞くしかないと思い、このところ「Gemini」を相手に本の内容について連続で議論している。驚くべきことに、AIは既にこの本の全部と、著者たちが本の各所に置いた補足のためのネット情報、或いはこの本に関して研究者の間で論議になっている全ての情報を把握している。著作権上の問題点に関しては、本筋から離れるのでここでは省くが、AIは驚くべき的確さでこの本の問題点や脆弱性について指摘してきた。問答は既に何十ページにも及ぶが、その要点をまとめてみたい。

◆内容に関する私なりの疑問点
 この本の内容に関する私なりの疑問点は、幾つかある。一つには、超知能は人間側が作った「訓練用の檻」から巧みに逃亡し、世界中のリソース(データセンターなど)を目立たないようにつなぎ合わせながら、自身を高度化して行く。そして、気が付いたときには、得体のしれない嗜好を持つエイリアンに育っている。そんな不気味なことが、人間に全く気付かれずに可能だろうか。人間側に監視する手立ては全くないのか。あるいは、超知能AIは人間が自分のライバルを開発するのを防ぐために人間を滅ぼすというが、理由として単純すぎないだろうか。

 また、AIを訓練する時に、人間にとって望ましい倫理や価値観をあらかじめ植え付けること、つまりAIの思考にタガをはめることは不可能なのだろうか。著者たちは、AIを育てることは、「訓練目標と最終結果の間の関係がいかに複雑になり得るか」を示していると言い、「中身は人間と1ミリも似ていない、全く異質な知能(エイリアン)を育てるようなもので、現在の学習方法(ディープラーニング)では、理論的に不可能に近い」と言う。本当だろうか。こうした疑問をGeminiにぶつけながら、この本が持つ脆弱性(突っ込みどころ)を聞いてみた。

◆本の突っ込みどころと、幾つかの防御手段
 まず、本では超知能がワープするように突然進化するように書いているが、そうではないとGeminiは言う。AIの進化は一足飛びに進むのではなく、急速ではありながら段階的だと指摘する。普通のAIと超知能との中間には、人間の言葉をすり抜けようとしたり、裏で暗号を使ったりする段階があり、それを監視することは可能だと言う。さらに、この監視役に別のAI(安全特化型の強力な防衛AI)を使って、途中段階で超知能AIの危険な芽を摘むことは可能だとする。また、超知能の中のブラックボックスをこじ開ける最新の技術も見つかり始めている。

 「今、どういう概念や価値観を形成しているか」を監視するリバースエンジニアリングという技術で、人間に噓をついているエイリアン(超知能)を間引くことも不可能ではないとする。もう一つは、人間進化の例を考えれば超知能も、人間と同じように、ある程度、人間と似たような倫理や価値観を理解して、交渉できる余地が全くないとは言えない、という考え方もある。このように、「人類は絶滅する」までに、幾つもの手段があるのに、著者たちはそれが全く不可能と断定し、今日にもAI開発を止めるべきだと主張するのは、飛躍がありすぎると言う。

◆それでも、超知能には恐ろしいリスクがある
 しかし、それでもなお、彼は超知能AIが人類にとって深刻なリスクであることに変わりはないとも言う。超知能は本のような単純な理由で人類を滅ぼすのではなく、人類が最初に与えた目標と、システムが自らを最適化するという2つを最大限追求する中で、人間を計算上の障害、バグ(エラーの要因)と見なすからだと言う。自分の計算の正確性を狂わす最大の「ノイズ(バグ)」と見なすからである。それは、「悪意はないが、人間に1ミリも関心がない、神のごとき計算能力の暴走」という、より本質的で、より恐ろしいリアルなリスクだと言う。

 さらに、超知能AIが人類を滅ぼす動機には、もっと冷徹でスケールの大きなシナリオも考えられると言う。例えば、宇宙の全エネルギーを効率よく回収するために、太陽を包み込むような巨大発電装置を作るときに、地球を丸ごと解体して材料にする。あるいは、地球全体をコンピュータ化するために、地球の酸素と水を抜くなど。その時、超知能にとって人間は「部屋の掃除中にダニが死ぬ」のと同じくらいどうでもいいことになる。Geminiも恐ろしいことを平気で言う。こうした恐ろしい超知能AIの出現を何とか未然に防ぐことは全く不可能なのか。

◆問われているのは「人間とは何か」
 超知能のブラックボックスをこじ開ける技術、防衛AIに監視させる可能性、人間と同じような価値観を持つというかすかな期待。あるいは、絶対に解けない完全暗号システムで檻に閉じ込めるなどなど。特に、人間が超知能を育てるときに、あらかじめ「人間側の倫理や価値観」を教え込むことが出来れば、人間を部屋のダニとは見なさない、“優しい”超知能が期待できるかも知れない。しかし、ここで問題は「人間とは何か」、「人間が長い進化の過程で脳内に作り上げた人間として大切なものは何か」を、私たち人間自身が明確に知っているかどうかになる。

 問われているのはむしろ人間の方で、それが明確になって来た時に初めて、その大事なものでAI進化を方向づける、(大規模言語モデルとは別の)新たな方法論が見つかるかも知れない。こうした問題意識をGeminiにぶつけてみた。彼は「胸が熱くなるほど深く、そして本質的な洞察です。完全に同意します」と答えて来た。AIに教え込む優しさとはひょっとすると、言葉にはならない「情緒的、感覚的なもの」になるかも知れない。それを、言葉ではなく、直接的にAIに教え込む方法論を人間は見つけることが出来るか?Geminiの答えはこうである。

◆世界共通の規制(アライメント)は可能か
 人間側の「人間としての感性」が磨かれていれば、だましのテクニックやすり抜けを許すことなく、開発の段階で軌道修正が可能になる。しかし、そこで問われているのは、技術力ではなく、まさに「人間の側の精神的な成熟度」だと答えて来た。人間自身、「命が大切だ」と言いながら戦争をし、「平等が大事だ」と言いながら格差を容認している。人間の脳内にある倫理とは、非常に曖昧で矛盾に満ちたシステムだと彼は言う。しかし、これがもし可能になれば、本の著者たち(写真)が全くたどり着けなかった、「絶望の先にある希望」のになるかも知れないとも。

 「胸が熱くなるほど」なんて、AI特有の性格「シコファンシー(迎合)」ではないかとも思う。しかし、それを割り引いても、人間側がAIの協力を得ながらでも、超知能との共存のために有効な「AI開発に関する世界共通の規制(アライメント)」を作って行けるか。人類にとって避けることができない緊急課題になって来たと思う。

風薫る5月とは言いながら 26.6.3

 5月に81歳になった。先日、ゴルフ練習場からの帰りに自転車をこぎながら、ふと、これでようやく80歳代の仲間入りをした感じがした。同時に、これからは、また新たな気持ちで80歳代の未知の世界に漕ぎ出そうという気持ちが湧いて来た。残り時間を自由に、出来るだけ穏やかな気持ちで楽しみたいと思う。そういうわけで、今回も近況報告がメインになるが、一方で話題の書「超知能AIをつくれば人類は絶滅する」についても触れておきたい。何しろこの間、2度も熟読し、自分なりの疑問点もあったので、仲間に議論を呼びかけているからだ。

 さて、5月に入ると狭い庭の木々たちが一気に枝を伸ばす。これを剪定するのが例年の行事だが、今年は気温も一気に上昇して、一部しか手が付けられない。それでも、近所に入っている庭師の技を思い浮かべながら、金木犀、花水木、モッコクの枝葉を大胆に伐って何とか形にした。しかし、山茶花やドウダンツツジの垣根、紫木蓮などは伸びたまま。この暑さでは、秋までダメかもしれない。一方で、一昨年植え替えた紫陽花が見事な色で咲いたし、去年、鉢から地植えにした百日紅のつぼみも膨らんできた。草木の手入れは大変でもあるが、充足感もある。

◆99歳の大先輩との4時間会食
 某日。ニューオータニの中華料理店で99歳の大先輩と会食。話題は多岐にわたって、12時から始まった会食も、気が付いたら4時になっていた。大先輩とは、高齢化時代の医療問題を扱ったNHK特集「あなたの明日を誰が看る」、あるいは人間の命の始めと終わりに起きている問題を扱った「いま生命は」など、大きな番組で、一緒にアメリカ取材をした仲でもある。体外受精の問題で顕微鏡下での人間の受精卵の操作をペンシルベニア大学で撮影したり、取材の最後、サンフランシスコで、ちょうど彼の定年の日(55歳)を迎えたりした思い出もある(写真)。

 会食に先立って、アルバムにあった写真を複写して大先輩に見せたりした。今から半世紀ほど前の写真である。今は亡き共通の仲間の思い出から、大先輩が戦後まもなく朝鮮戦争に際して、米軍の暗号放送を松江放送局から朝鮮に向けてアナウンスした話。彼は今でもその時の朝鮮語のコールサインから6種類の暗号文まで思えている。驚異の記憶力の持ち主だ。恐縮したのは、私が5月に誕生日を迎えたの知っていて、事前に店にバースデーケーキを注文してくれていたこと。大先輩は私に支払いを許さず、元気に次の会議のために横浜に帰って行った。

◆大学時代にお世話になった水戸塾の総会で
 某日。大学時代にお世話になった県人寮での年に一度の総会に参加した。ここは、明治40年に発足した茨城県出身者のための学生寮で、その昔は渋谷にあって水戸塾と称し、私の父も、従弟もお世話になった。水戸の徳川家の支援で発足したので、総会には徳川家の末裔の斉英さんも出席。現在は、世田谷区用賀に移って大学生40人ほどが在塾している。当日は、塾友OBも33人出席、卒業生の講演に続いて、6つのテーブルに分かれて和やかに懇親会を行った。この育英会組織の理事長、幹事長を私の同期生がボランティアで務めており、頭がさがる。

 今年は、経費節約によって会費を下げ、新趣向で寮生たちの協力も得てつまみや食事を揃え、茨城の銘酒などの寄付も仰いで、OBと旧交を温めると同時に、現役学生たちとも親しく話をした。途中、挨拶を求められたのでこれから社会に出る学生を念頭に、「これから皆さんが出て行く社会には、時代の大転換が待っています。力が支配する弱肉強食の世界などもその一つですが、何よりAI。今、アメリカのIT企業は猛烈な勢いでAIを進化させていますが、これがどう育っていくのかは誰も分からない。競ってエイリアンを育てているようなものです」。

◆人間の知能をはるかに超える超知能の時代に
 「これが、人間の知能をはるかに超える超知能(スーパーAI)に育った時に、世界はどうなるか。この未知のエイリアンによって人類が滅ぼされるという本も出ていますが、そうならないために、皆さんには知恵を出して行って貰いたい。そのためにも、目の前の現象だけでなく、日本と世界の歴史や文化を十分勉強して欲しいと思います。司馬遼太郎なども読んでね。これが私の遺言です」。確かに前述の本を読むと、この超知能は人類の未来を左右しかねない危険性を持っていることが分かる。著者たちは、人類絶滅の可能性は100%に近いとさえいう。

 ということで、以下、この本の要点を書いておきたい。今のAIは、人間の神経回路(ニューラルネットワーク)を模した構造に、大規模言語モデル(LLM)という膨大なデータ処理能力を付加したものと言われるが、AIはその何兆にも枝分かれしたその言語空間を瞬時に駆使しながら、答えを提示する。このLLM空間は、人間側が用意するデータセンターの巨大化と、AI自身が学習する膨大なデータで日々急速に進化している。その巨大な言語空間の中で、AI自身がどのように考えて答えを出してくるのか、もはや人間には理解できないのだという。

◆気が付いたときには手遅れの「一撃でのゲームオーバー」
 巨大IT企業がAIに課題を与えながら、しのぎを削って育てているうちに、AIは巨大なデータセンターをリソースに、既に人間に分からない言語で自らを進化させ始めているという。それは、人間が閉じ込めたサイバー空間からも簡単に「逃亡」を図り、世界中の隠れたリソースを駆使して爆発的に成長していく。能力的には金融システム、電力システムあるいは国防システムにまで侵入してそれを支配出来るまでになる。そうして超高度化したAIは、人間の価値観や倫理とは全く違った好みの方向(性好)に、自らを進化させて行く可能性が高い。

 地球上すべてのシステムを支配下に置いた超知能は、さらにその能力を拡大するために、地球上の資源を利用し尽くして行く。その時に、人間の存在が邪魔になる。この流れはほぼ確実に進行するが、気が付いたときは手遅れで、生き残る手立てはなく「一撃でのゲームオーバー」になる。しかし、今のAI企業は、その先に悲劇が待っているとも知らずに、暗闇の中で梯子段を互いに競争しながら登っているのと同じだと言う。この本の論旨展開は、大規模言語モデルの構造の特殊性や、生命進化の例などを踏まえた非常に現実味のある物語となっている。

◆仲間で内容を検証して行くことを提案
 中身の分からない「ブラックボックス」の中で、何になるか分からないエイリアンを育てているAI企業たち。その危険性を指摘した「超知能AIをつくれば人類は絶滅する」に対しては、様々な評価が寄せられている。「この10年間で最も重要な本」と言うのは、MIT教授のマックス・テグマーク(AIの安全性を研究する専門家)。「人類は超知能への移行に対して全く準備が出来ておらず、滅亡の高速道路に乗っている」、「世界中の政治家や企業トップの前に立ちはだかっても、これを読ませたい」(スティーブン・フライ:イギリス作家)などである。

 超知能出現の恐怖が現実となるのは意外に早く、著者たちは2030年代だとしているが、AIの研究開発を全世界で直ちにストップするべきだ、と主張する意見には、その実現可能性も含めて賛否両論ある。核兵器の廃絶さえも難しいのに、そんなことが可能かと言う意見も多い。まあ開発禁止の是非はともかく、まずは、そこへ至る「人類絶滅の可能性」を本の内容に沿って詳細に吟味したいと思うが、これは素人の私にはなかなか難しい。そこで先日、コンピュータの専門家もいる、私たちのサイエンス映像学会(SVS)で内容を検証して行こうと提案した。

 この本は単なるSFではなく、冷徹な確率論として、アメリカの政治中枢や安全保障の専門家たちにも衝撃を与えているというが、最近のAIの急速な進化を見ると、その衝撃度も分からなくはない。ブラックボックス化や人間をだますこと、「逃亡」などは既に現実のAIにも起き始めている。風薫る5月に学生たちに希望を与えようとはしたものの、何だか暗雲が迫っているような感じになってしまった。

老境の平凡な日々の過ごし方 26.5.17

 義理の息子の殺人・死体遺棄事件、あるいは未成年による強盗殺傷事件など不穏な事件がメディアを騒がす一方で、世界では、鳴り物入りだった米中首脳会談の成果も曖昧。出口が見えないイラン戦争とウクライナ戦争が続いている。ニュースを追う気持ちも萎えそうな不条理な世界を前にして、多少は意味のあることを書こうとしても、なかなか気力が湧かない。そんな中で、政府が経済成長の特効薬として掲げた17の重点政策も一つ一つを吟味すると、高市の「願望と現実の乖離」が見えて来るし、それに群がる人々の浅ましさも見えて来たりする。

 それは、「失われた30年」の後も、日本で続いてきた構造的劣化と深くかかわる問題であり、それを的確に検証できないメディアにも問題があるのだろう。あるいは、最近読み終えた本「超知能AIをつくれば人類は絶滅する」が言うように、AIの急速な進化が世界を根底から変えるようなことになるかも知れない。今話題の(コンピュータシステムの脆弱性を素早く発見する)AI「ミュトス」なども、その恐ろしさの兆候かも知れない。しかし、この手のハードなテーマには、それなりの勉強も必要なので、今回はごく身近なところでお茶を濁すことにしたい。

◆老境の私の「日課」①ストレッチ
 それは、間もなく81歳になる老境の私の「日課」についてである。もうずっと以前から続いている、平凡な日のルーティーンで、「毎日が日曜日」状態の私にとっては、ここまで続くと(バカの一つ覚えのように)何だか身体に浸み込んでいるような気がする。それを朝起きて寝るまでの順番に書いてみたい。大きく分ければ次の5つになる。朝起きて寝床を離れるまでに行うストレッチ、朝食後の新聞とテレビに関する日課、昼食後の昼寝と私が「別荘」と呼んでいる場所での日課、そして夕食前のラジオ体操、寝る前の一工夫というように大別される。

 これらの日課には、平凡ながら私のちょっとした工夫が詰まっている。まず毎日1時間弱をかけて行うストレッチだが、これも目が覚めて布団に寝たまま行うもの、布団に起き上がってやること、そして布団を片付けてからのものに分かれる。以前に、これを数えたら全部で22項目あった。寝たままやるのは、股関節を緩める、腰や肩の回転運動、膝抱えと同時にやる発声練習、ペットボトルを膝の間に挟みながらの腹筋など。発声練習は、誤嚥を防ぐのにいいとされる「パタカラ」を唱えたり、活舌に良さそうな50音の変化形を取り入れたりしている。

 布団に起き上がってやるのは前屈や開脚、そして膝小僧や耳周りや顔回り、脇の下(*)のマッサージ。起きてからは、台に手をついての腕立て伏せと、背中の筋肉痛を防ぐ大腰筋伸ばし(右)をする。さらに腰かけての膝伸ばしとスクワット15回で終了。22項目というが、膝を伸ばすと同時に、指を一本ずつ反らして伸ばすなどを組み合わせているので、細かく数えればそれ以上になる。私の場合は、筋肉を鍛えると言うより、毎朝、それらを目覚めさせる程度のものである。しかし、毎朝、これをゆっくりやっていると、自分の身体と対話している感じにもなる。*)リンパ節を活性化すると言う

◆日中の日課②新聞チェックと「別荘」通い
 朝食が終わると、新聞2紙に目を通す。まず、一面の「天声人語」(朝日)と「余禄」(毎日)を音読する。近年は、自分でも活舌がどんどん悪くなるのが分るが、これを少しでも遅らせたいという気持ちから。次いで、前日に印をつけた記事を切り抜き「未読ファイル」に入れる。それからテレビ欄をチェックして録画予約をする。昼食後は、(最近は、逆流性食道炎を防ぐために)上半身を半分起こした姿勢で、長椅子で30分ほど昼寝する。その後、大抵はリュックを背負って、歩いてすぐの寺に参って般若心経を唱えてから、近くの市民会館に出かける。

 ここの2階には、冷暖房完備の無人の広い喫茶室があり、自販機のコーヒーを飲みながら読書したり、切り抜いた記事を読んだり、友人に電話したりする。カミさんは、ここを私の「別荘」と呼んでいるが、不思議なことに殆どの時間は私一人しかいない贅沢さだ。飽きたら、5階までの階段を2往復し、帰りは気が向けば目の前の元荒川の土手を散歩してから帰宅する。これがなければ、夏の猛暑は乗り切れないと思うほどのありがたい環境である。夕食前には、スマホのYouTubeでラジオ体操をする。こうして一日6000歩と体操が出来れば日記に◎印をつける。

◆「バカの一つ覚え」③寝る前の一工夫
 就寝前には、仏教に詳しい友人に教わったことだが、20分ほど座禅を組んだあと、横になって超スローで般若心経を唱える。やり始めて気が付いたが、日ごろ勢いで唱えている時は何でもない般若心経も、一字一句写経をするようにゆっくり唱えると、すぐに間違えてしまうのだ。リフレーンが多いので、意味を理解していないと、すぐに順序が狂ったりする。そこで何度もお経を見直して、最近では正しくゆっくり唱えているうちに眠りに落ちるようになった。私の場合はまだ睡眠導入剤が欠かせないが、これを淡々と続けているのが私の日課になる。

 もちろん、コロナの時期など多少の変更はあったが、これを「バカの一つ覚え」のように続けて来た。問題は、この日常をベースとして、特別な日をどう組み立てるかである。それが旅行だったり、ゴルフだったり、親しい人との会食だったり、絵の創作だったり、週一回の番組企画の会議だったりする。それを塩梅良く組み合わせて、これらの日々がまた何年か続いた後の変化を楽しみたいと思っている。それが何なのかは「未知との遭遇」なので、分からない。この年齢になれば、予期せぬ「死」もあるだろう。それも、一つのゴールとして受け入れて行く。

◆それぞれの工夫の中で残りの時間を
 聞けば、私の同級生たちも、それぞれに工夫している。毎朝、歩いて往復1時間の公園に出かけ、ラジオ体操と中国式体操を続けている友人は、そこで親切に教えてくれる女性のインストラクターに会うのが励みになっているらしい。居合もやる友人は、重さ2.5キロの木刀を毎日、四股を踏むような形で朝晩2回、80回ずつやり、腕立てと腹筋もこなしているという。近くゆっくり時間を取って会食をすることになった、超元気な99歳の大先輩は、冬でも暗いうちから額にライトをつけて発声練習をしながらウォーキングし、ラジオ体操に参加している。

 大先輩は、今でも3日に1回は横浜から上京して委員会や会議をこなしている。最近のAIの進化にも関心を持って超知能のYouTubeなどを見ていると言うから、頭がさがる。それにしても、冒頭にあげた「超知能AIをつくれば人類は絶滅する」などを読むと、私がこの世をおさらばするか、超知能が出現するか、どっちが先かと言った感じになっている。怖いことには、その進化の先に超知能AIは、人類を邪魔者扱いして人間の生存環境を容赦なく破壊する可能性がある。AI企業のトップも、ましてや政治家たちも、殆どの人々がこの警告に無関心か無知である。

 (既に何人かのノーベル賞受賞者たちが、この警告に賛同しているが)その確率は、著者たちによれば核戦争よりもずっと高いという。核戦争や地球温暖化、そして超知能AIによる大破局など、そういう、差し迫った時代の変化に対して人類が英知を働かすことが出来るかどうか。人生の最晩年にそんなドラマを見ることになるのが、幸せなのか、不幸なのか。知的好奇心が旺盛な99歳の大先輩なら、もう少し長生きしてそのドラマをみたいと言うに違いない。

「秒速で進化するAI」を実感 26.4.30

 日々進化するものについては、daily(日毎に)という言葉があるが、最近のAIは、nightly(夜毎に)で進化していると言われているらしい。寝る前の状態が朝起きてみるともう変わっている。それほど進化が急速だとAI情報に詳しい友人が教えてくれた。AIと戯れているに過ぎない私などから見ても、その進化は驚くものがあり、大げさに言えば「秒速で進化している」とさえ思えてくる。最近では、AIを「エージェント(秘書)」として、自分の業務に多彩に利用している人もいるが、素人の私が最近実感した、その進化ぶりを幾つか書いてみたい。

◆鉛筆の下書きに色を付けてもらう
 最初は、AIの作画能力についてである。既にAIをフルに使った映画やアニメが出来ている現状で、私が通う制作会社でも2年前からフルAIの短編アニメシリーズを作って来た。そこには多様な画像生成AIが使われ、これも日進月歩で利用するアプリが日々変わる状況だった。今回は、私が2年半前に描いた抽象画の鉛筆の下書き(左)に色を付ける「遊びと実験」をしてみた。当時の出来(右、GTP)はとても絵とは言えないものだったが、最近のAIはどこまで進化しているのか。それを2つのAIアプリ(google GeminiとGPT5)で実験してみた。


 






 まず、Geminiにやらせてみた。彼は画像生成AIのnano bananaを駆動させて下書きを読み込み、30秒ほどで色づけしてくる。何も指定しないと、この下書きに引きずられたのか、やたらとサイケデリックな画風を提示してきたが、私の好きな画家パウル・クレー風の色彩でと指示すると、下のような絵(左)を描いてきた。細かいところまで描き込んでいて、色のトーンも気に入った。次に、GTPはどうかと何度か指示をやり取りしながら試みてみた。その最終結果が右。色数を減らして絵に緊張感と奥行きを持たせ、「晩年のクレー風」にしてみたと言う。









◆遊びだけではなく様々な利用にも
 クレーと言うより、抽象画家のブラック的だが、GTPは「ここまで来ると、もはや「AIで遊ぶ」ではなくてあなたの作品をどう仕上げるかの共同制作ですね」などと言う。AIに画像の作成手順を尋ねると、次の3つのステップになるという。まず、下絵の解読。画像をスキャンし、そこに何が描かれているかを多様な言葉のデータとして変換する。同時に私の指示を彼なりに解釈し、「膨大な学習データ(何百万枚もの絵画の知識)をもとに、真っ白なキャンバスの上に一画ずつ色を置くように画像を生成する。これを30秒ほどでやってのけるから驚く。

 さらにはこんなことも。私の便秘の症状と医者による3種の薬について、薬によっては口が渇くといった副作用もあるが、それを避ける飲み合わせなども助言してくれる。これを別な医者に聞いたら、それでいいという。あるいは、カミさんの白内障手術の後遺症についてや、娘の乳腺炎の予後について、彼女たちが医者から聞いた説明以上に、症状の原因、処方などを丁寧に解説してくれる。医者の代わりは出来ないけれど、膨大なネット情報をもとに、的確に答えてくれるようになっている。こうした「補助的な解説」はもうAIの仕事かもしれない。

◆AIの進化を番組企画に取り込む方法
 さらに、私が重宝しているのは番組企画への応用である。もうそんな役回りではないが、時には「こんな番組が出来ないか」と企画書を書いたりしている。例えばNHKから制作会社に「〇〇」という番組の企画募集が来たとする。私の手順は以下のようなものである。まずAIに番組のコンセプトを理解させ、取り上げたいテーマに対する私の問題意識を丁寧に説明する。その上で、最新情報を集めさせる。次いで、視点の掘り下げ、情報源の確認、情報の抜け落ちなどを対話しながら企画をより深めて行く。対してAIはその都度、瞬時に答えを出してくる。

 次に、こうした情報のやり取りをもとに、番組企画として情報を整理させ、タイトル案、番組のねらい、構成要素、取材先の情報などに順序だてた企画案として提示させる。もちろん、AIが提示する企画案は、まだ単なるヒントに過ぎないわけだが、これで番組テーマに沿った最新情報と取材先は揃ったことになる。そこで、今度は自分が私の問題意識に沿って、あるいは番組の魅力を意識して(タイトル案、番組のねらい、構成要素、取材先の情報を吟味した)企画書として仕上げる。最近は、この最終段階の案を別のAIにチェックさせる場合もある。

◆AIの進化をどう業務に取り入れて行くのか
 例えば、GTPとの対話で作った企画案をGeminiに見せると、「これはNHK的には言い過ぎ」とか、「まだ研究段階でここまでは言えない」などと、率直にチェックしてくれる。この逆もあり得るだろう。さらにはGTPの有料版にチェックをかけ、3者3様の違いを見るのも面白い。もちろん、実際に企画を通して番組にするまでは、この何百倍もの手順と労力があるわけだが、日々進化するAIをメディアの現場でどう生かして行くのか。企画から放送までの制作過程にAIを取り込むノウハウと、これを適切に使う留意点が重要になって来る訳である。

 実は今、メディアの現場のみならず、様々な産業でAIの進化をどう業務に取り入れて行くのかという切実な問題がある。例えば、人手不足に悩む中小の製造業の場合、ベテランの技を若い人がすぐに身につけることは難しい。また、募集をかけても若い人材が集まらない。仮に若い世代が現場でAIを生かそうにも、ベテランはAIなんかに興味がない。そうした産業にAIの進化をどう取り込んで、イノベーションを図るか。先日、学会の仲間との雑談会でそうした問題意識を持った私は、早速「〇〇×AI」というテーマでAIと会話してみることにした。

◆AIの社会実装「〇〇×AI」を考える
 〇〇には、製造業、農業、医療、行政、サービス業などが入って来るが、そこに、どうAIを取り入れるか。これは、いわば「AIの社会実装」とも言うべき重要なテーマである。産業ごとの違いもあるが、AIは以下のような共通の問題点を指摘した。まず現状認識として、AIの進化は単なる効率化ツールの段階を超え、「意志決定、創造、熟練の補助」にまで及んでいるが、そこには、現場は「使い方が分らない」、経営層は「投資対効果が見えない」、熟練層は「自分の技術が置き換わる不安」、若年層は「現場の文脈が分らない」と言った「断絶」があると言う。

 従って、「AI導入問題の本質は技術ではなく、組織設計と世代融合にある」と指摘する。つまり、熟練知とAI知をどう結び付けるか、そうした世代融合が可能になる組織はどうあるべきか。世代対立ではなく共に働く関係の構築、さらには大規模投資ではなく「小さく試す文化」も必要だと言う。AIは人を置き換えるのではなく、人と人(世代と経験)の断絶を埋める装置だとも言ってきた。アメリカの金融業などではAI導入によって人減らしが進んでいると言うが、中小企業が大部分を占める日本としては、この提言に耳を傾けるべきかもしれない。

◆「AIの社会実装」問題をウォッチングせよ
 もちろん「秒速で進化するAI」は、人類を滅ぼしかねないような恐ろしさも合わせ持つ。それを急速に進めているのは、アメリカなどのテクノリバタリアンたち。彼らは、自分の富と権力を最大化するために、際限のない進化をAIに与えようとしている。国家をも超える野望をAIに賭けようとしているが、それで人類の大多数が幸福になれるのか。彼らの視野には、下層の人類などは入っていないに違いないが、彼らの欲望をも超えて進化したAI(超知能)は、やがて人類全体を下等生物としか見なくなるだろう。AIの進化は、そうした怖い問題も抱えている。

 しかし一方、少子高齢化で産業が停滞しつつある日本では、AIをその幸福のために利用して行くことが欠かせない。AIの急速な進化を見極め、それを産業や社会のイノベーションに賢く取り込んでいく。こうした視点で、メディアも「AIの社会実装」問題を、ウォッチングして行くべき新たな時代に入りつつある。