11月末から12月にかけて2泊3日で京都に行った。 紅葉も最後の時期だったが、名所の神社仏閣を2人して精力的にまわって帰宅した。翌々日には、次男一家を千葉県佐倉市に訪ねる予定だったが、朝起きてみるとカミさんが体調不良になって、残念ながら訪問は断念。3人の孫たちに会えるのを楽しみにしていたが、やはり京都での強行軍がこえたのかも知れない。夕方にはやや復調してスマホのフェースタイムで互いの顔を見ながら話をして、孫たちとはお正月に会う約束をした。京都行きのことは後段に書くとして、訪問取りやめの代わりと言ってはなんだが、まずは孫娘のKちゃん(5歳)のちょっといい話をここに載せておきたい。
Kちゃんは、兄と弟にはさまれた女の子で幼稚園の年長さん。来年4月には小学生の予定だが、次男一家は今、春にNYに移住する計画を立てていて、彼女も向こうの小学校に入学することになるかも知れない。小さい頃から自分のこだわりを持っていて、頑固にそれを貫くなかなか個性的な子で、育てる親の方は大変かも知れないが、見ていて飽きない子でもある。最近、そのKちゃんを幼稚園に送って行った時の出来事をママがフェースブックに載せたので、許可を得てこちらにも転載する。『私の娘は、ワガママで人の気持ちが分からず、将来が心配だ。』から始まる本文だが、続いてそれを覆すような意外な展開で、読んでいるこちらの気持ちもほっこりするようなエピソードだ。
◆ママのFBから
『今朝、娘を幼稚園まで車で送って行く途中、竹林が伐採されていた。私はキレイになっていいなぁと思いながら、「木を切ってるね」と言ったら、娘は小さな声で「ダメ…。切ったらダメ。動物がいるから」と呟いた。私はハッとした。いつも、私が自然がどーとか、生き物に優しくとか言っているのは口先だけで、娘は本当に動物に対して優しい気持ちがあるのだと。
その後、幼稚園で車から降ろすとすぐに帰るのだが、今日は娘の様子をしばらく見ていた。すると、娘は教室に向かわない。何をしてるのだろうと見てると、バスを待っている。バスに友達がいるのだろうか?
しばらくすると最後に年少さんの1番身体の小さな女の子が出てきた。その子を見つけると慣れた手つきで手を引いた。身体の小さなその子にとってバスを降りるのも手すりの無い階段を登るのも一苦労そうだった。その手をしっかりと握って昇降口まで連れて行くとバイバイとあいさつをして教室へと向かった。
誰も見ていなかった、それを誰かに言うわけでもないから褒められる事もなく、本人にしては当たり前のようだった。それを偶然にも親の私が目撃できたことが、ここ最近の一番の幸せ。 そして娘を長いこと勘違いしていた自分を反省...。忘れないようにメモ。』
この投稿には、ママの友達から沢山の反響があったが、それにママが書いた返信によると、「連れてってあげてるのは何でって聞いたら、前に階段で転んでるのを見て、その日から毎日連れて行ってあげてるとのこと」だそうだ。幼い個性的なKちゃんもいろいろ考えている。私たちは、アメリカ大統領がトランプになって次男のような出稼ぎはどうなるのか、あるいは様々な対立が激しくなってテロでも起きないかなどと、次男のNY行きを心配しているが、そういう心配はともかくとして、正月にまた一段と成長した元気な孫たちに会うのを楽しみにしている。
◆◆◆
さて、京都行きの話に戻る。まだ宇治平等院を見たことがないというので、 今回の旅はここをメインにして、3日間の旅程の中に、いろいろ紅葉が見られそうな神社仏閣をアレンジした。最初の日は、昼過ぎに京都についてまず秀吉が建てた二条城へ。幕末に徳川慶喜が諸国の主立った大名を一堂に集めて大政奉還を決めた二の丸御殿の大広間を見たり、歩くと音の出るウグイス張りの廊下などを見学した。二条城の庭は松と池が主だったところで目立った紅葉はないが、池のほとりでは庭師たちがソテツをわらで包んで冬支度をしていた 。銀杏木立の下は一面の黄色い絨毯のようになっている。
ついで、一般公開している京都御所へ。中に入ったのは初めてだったが、歴史に登場する紫宸殿や小御所などを見学。庭の一部には紅葉(もみじ)がまだ色づいていた。その後さらに地下鉄で錦市場がある錦小路通りへ。アメヤ横町のように観光客でごった返す賑やかな通りを、各地の名産を眺めて歩いた。ここも例に漏れず、多くの外人観光客がいたが、中には男女それぞれが日本の着物を着て歩いている中国の観光客もいる。その日は、それでホテルへ。
翌日は、世界遺産・宇治平等院鳳凰堂を見学した。JR奈良線の宇治駅で降りて平等院まで歩き、池に映った鳳凰堂のまわりを散策し、ついで限られた人数ごとに鳳凰堂の中に入り、阿弥陀如来を拝観した。藤原道長の子、藤原頼道によって寺に改修された平等院だが、お堂内部の壁面いっぱいに優雅に空を舞うように52体の菩薩像が如来を囲んでいる。紅葉に彩られた平等院の極楽浄土を思わせる全体像と合わせて、平安時代の人々の浄土信仰への熱き思 いを感じた。ついで、平等院から宇治神社、宇治上神社と歩き、さらに宇治から電車に乗って紅葉で名高い東福寺へ。
寺の境内の紅葉を見てから小さな谷一面の紅葉を見渡せる天通橋をわたる。残念ながら紅葉は半分ほどが散ってしまっていたが、 地上に降り敷いたもみじの葉と合わせてみれば、なかなかな見物ではあった。この日は、さらに欲張って高台寺まで足を伸ばした。東福寺駅から、今度は京阪本線に乗り換え、祇園四条まで行き、そこから歩いて高台寺へ。秀吉をまつるために北の政所が建てたという寺で、二人の霊廟がある。ここも、紅葉で名高い寺で多くの外国人が観光に来ていた。その日は、これで京都駅にあるホテルに戻ったが、万歩計を見ると14キロほども歩いた計算になった。
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最終日は、午後3時半に新幹線に乗る予定だった。幸いに天気も良かったので、朝食を取って一休みした後に、荷物を預けて京都駅から東寺まで歩いた。東寺は前にも行ったことがあるが、紅葉で名高いという寺ではない。それでもカミさんは是非行きたいという。境内に入ると、見所である五重塔、金銅、講堂が広い敷地に点在している。50歳の時にこの寺を預けられた弘法大師空海が、精魂を込めて作り上げた密教寺院。五重塔内部や講堂の内部には、立体曼荼羅として有名な密教空間がある。大日如来を中心に据えて、周りを諸仏が取り囲む。平面的な曼荼羅図ではなく、実際の仏像で密教世界の宇宙観を表現した壮大な試みである。
五重塔の内部は、巨大な太さの中心柱を大日如来に見立て、その周りに諸仏が並ぶ。また講堂の方は、中心の大日如来の周りに19の諸仏を配置してある。うち、15体が国宝である。普通 、国宝というと距離を持ってしか鑑賞できないが、ここでは何の隔たりもなく、ごく身近に仏様たちを拝むことが出来る。その仏様たちも、美術品というようなものではなく、ごく自然な宗教的空間に信仰の対象としてそこにあった。薄暗い講堂には、数人しか見学者がおらず、私たちは如来さまの前の壁の縁に腰をかけてしばらく20体に上る仏様たちを眺めていた。
その時、カミさんがぽつりと「今回の旅行ではここが一番良かったみたい」と言った。宇治平等院も含めて、半ば京都の有名な紅葉を見に来たわけだが、それから考えるとちょっと意外な感想だった。今回、訪ねた所を順序立てて見ると、(一日目)二条城⇒京都御所⇒錦市場通り。(二日目)平等院鳳凰堂⇒宇治神社⇒宇治上神社⇒東福寺⇒高台寺。(三日目)東寺⇒東本願寺となる。濃密な3日間で、毎日10キロを超す距離を歩いた。その後、カミさんの体調はいまいちだが、夏の孫疲れも含めて、ちょっと無理をしたかも知れないと反省もしている。しかし、念願の平等院も見たことだし、空海の作った立体曼荼羅の仏様たちも拝見できたことだし、良かったのではないかと思っている。
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