「メディアの風 時代と向き合った16年」(下巻)

■第6章 戦争と平和、憲法

過去に、民族の愚行とも言える大戦争を引き起こし、自国民310万人に加えてアジアに2000万人の戦争犠牲者を生み出した日本。その反省は今、十分に生かされているのか。あの戦争の恐怖の現実、戦争責任の考え方から、安倍政権に始まった安保法制の持つ意味、空洞化する平和憲法、そして人類的課題である核兵器廃絶を巡る考え方まで。戦後日本の国是ともなってきた「不戦の誓い」が揺らいでいる今、改めて戦争と平和について考える。このテーマに関しては、未来に向けての重要なテーマだけに、多くを削除せず29本を残すことになった。

いま不戦の誓い、とは        2005.12.11
もう一つの戦争責任         2006.7.17
日本人の戦争            2006.9.17
憲法を考える            2007.5.20
戦争を始める論理          2007.8.31
Nスペと戦争責任           2009.8.12
尖閣・武力衝突回避に全力を     2012.9.23
戦争が忍び寄るとき         2012.10.2
積極的平和主義とアメリカ依存    2013.11.2
戦争が坂道を転がり出す時      2014.4.17
「集団的自衛権」のその先に     2014.5.22
“死活的に重要”で戦争に      2014.7.22
一億総玉砕と日本殲滅作戦      2014.12.17
憲法と安保法制の危険な関係     2015.3.18
対米従属の中の列強願望       2015.3.26
「平和のリアリティー」を問え    2015.5.14
安倍談話と2つの戦争責任       2015.8.25
自衛隊が日本軍になる日       2015.9.10
満蒙開拓・国策の果てに       2015.12.20
独裁者ヒトラーがいた時代      2016.2.4
「核なき世界」を巡る攻防      2016.10.14
先制核攻撃の誘惑と“核の傘”    2016.11.17
安倍改憲案の危険な仕掛け      2017.5.28
非戦国家であり続ける意志      2018.1.27
核大国を蝕む野心と猜疑心      2018.2.8
果てしなき軍拡競争の誘惑      2019.6.11
極東で拡大する核ミサイル      2019.11.5
「核の傘」の欺瞞と危険性      2019.12.14

■第7章 政治、社会問題、日本の課題
 こちらの30本は目の前で起きている社会・政治問題について併走しながら書いてきたものである。子どもの貧困、超高齢化や少子化の社会的衝撃、年金問題、天皇の退位問題、科学技術立国の凋落と「失われた30年の自画像」。加えて歴史認識など、日本が抱える多岐にわたる問題を扱ってきた。その都度、勉強しながらのコラムである。これらを見ると、一頃の勢いを失った近年の日本が、いかに過去の栄光を引きずってぬるま湯に浸っているかが、心配になる。

政治家の耐えられない軽さ       2005.10.19
小さな政府の落とし穴         2006.2.1
マニフェスト選挙とは         2009.8.23
体制の“くびき”から自由であること 2013.10.8
縮む日本・待ったなしの近未来    2013.11.23
「プロジェクトX」は再び来るか    2013.11.14
自民一強時代と漂流する野党     2014.5.15
日本の何を守るのか         2014.6.28
国会・野党の頑張りどころ      2014.10.8
“縮む日本”の現実を直視せよ    2014.11.20
日本礼賛ブームの落とし穴      2015.4.9
超高齢・多死時代の終末観      2016.4.13
「日本会議の研究」を読む      2016.6.25
格差と分断から共生の社会へ     2016.7.3
「象徴天皇」に込めたお気持ち    2016.8.16
子ども食堂と見えない貧困      2016.9.15
天皇における象徴性とは何か     2016.12.31
試される民主主義の価値観      2017.2.2
歴史認識の暗くて深い溝@      2017.12.2
歴史認識の暗くて深い溝A      2017.12.13
含羞なき時代に生きる        2018.5.22
安倍政治への新たな対抗軸      2018.10.24
科学技術立国の揺らぐ足元      2018.11.5
「失われた30年」の自画像       2019.5.16
年金、2千万円問題の裏側       2019.6.23
闘う相手を見失う野党合流      2020.1.21
投票で現状を変えたいなら      2020.7.11
拡大する政治的ニヒリズム      2020.10.27
デジタルとAIをどう使うか       2021.1.27
科学的に見て合理的に行う      2021.3.28
真実の世界を壊す政治の嘘      2021.4.8
■第8章 民主党政権
 短命に終わった民主党政権(2009年〜2012年)だが、その時代に書いたコラムを残すかどうかは少し迷った。しかし、読み返してみると当時の民主党政権がどのような点で政治的に未熟だったかが分かり、しかもそれは今の立憲民主党の低迷ぶりにもつながっていることが分かる。これは結構本質的な欠陥でもある。そうしたこともあって、結果として30本のうち10本を残した。それにしても、当時のメディアは、束になって民主党政権や小沢問題を批判した。その十分の一でも、今の政治に対して底力を見せてくれればと思うくらいである。

民主党の危機管理能力        2006.2.23(*)野党時代
事業仕分けについて         2009.11.27
迷走おおいに結構          2009.12.8
事業仕分け第2弾 国家戦略はどうした? 2010.4.24
菅民主党の「現実路線」とは何か   2010.6.22
「推定無罪」を無視するマスメディア 2010.10.10
「小沢切りの真相と深層」      2010.12.12
TPPは日本の何を壊すのか       2011.11.11
理念なき「国家経営」の時代に    2012.2.19
■第9章 安倍政権、菅政権
 7年8ヶ月に及ぶ安倍政治について書いたコラムは57本(うち残したのは23本)になる。初期の頃はアベノミクスに隠れて見えにくかった安倍政治の本質も、特定秘密保護法、共謀罪、集団的自衛権を強行するうちに、その国家主義的な体質を露わにし始める。さらに残る改憲を唯一の大義とする中で、足元の政治課題が置き去りにされ、政治の劣化と腐敗が進むことになる。それは「安倍政治の失われた8年」に書いたところだが、何より深刻なのは、この間に進んだ日本の議会制民主主義の空洞化だろう。この病理は菅政権にも引き継がれていた。そして、その菅首相も1年に満たず、退陣を表明する。

「反省なき国家主義」を問う     2013.5.8
成長戦略に期待できるか       2013.5.16
既に始まっている「政治の現実」   2013.7.21
世界と時代に逆行する秘密国家    2013.12.5
政治家・安倍の実像を語れ      2014.5.28
安倍政治の見せかけと実体(1    2014.10.23
安倍政治の見せかけと実体(2)    2014.10.31
安倍政治の見せかけと実体(3)    2014.11.2
安倍政治の中の「富裕と貧困」    2015.3.8
極右化する政治と日本の未来(1)   2015.4.26
極右化する政治と日本の未来(2)   2015.5.4
「言い換え」と虚言の政治      2015.6.11
法の終わるところ暴政が始まる    2015.10.22
政治が経済を主導する時       2015.12.7
アベノミクス・バブルの崩壊     2016.1.14
権力者と応援団の危険な関係     2017.3.30
テロ対策から逸脱する共謀罪     2017.4.19
アベノミクスの時限爆弾       2018.2.18
権力亡者たちの人間崩壊       2018.4.21
規制改革という名の破壊       2018.5.14
安倍自民党とポピュリズム      2018.6.13
公文書改ざん事件の罪と罰      2018.7.5
安倍政治の「失われた8年」      2020.3.10
菅義偉政権
叩き上げ首相の危険な体質      2020.12.17
■あとがきに代えて
 2005年に立ち上げた私的なウェブサイト「メディアの風」で書き続けて来たコラムは16年に440本。このサイトでは、他に「楽しい読書生活」や「私の仏教探求」など幾つかのコーナーがあったが、途中から時代と向き合って書き続けた「日々のコラム」と、定年後の身辺を記した「風の日めくり」の二本立てになった。「風の日めくり」で発信した内容は、初期の頃の短文も含めて、やはり16年間で400本近くになる。

 「日々のコラム」の方は6年経った頃から、更新のたびに友人、知人、先輩、後輩にメールでお知らせするようになったこともあり、このウェブサイトは私にとって定年後に社会とつながる格好のツーだったと言える。自分がまだ元気でいることのお知らせ的なこともあったが、この間に様々な人々から励ましを頂いたことも続ける力になった。改めて感謝したい。

 今回、コラムの方は半分以下に絞ったわっけだが、ある程度時代の変化や当時の雰囲気を感じて頂けるような内容、或いは地球温暖化問題や核兵器問題など、今後も引き続き課題であるようなテーマを残すことにした。同時に、脱原発、国の借金、格差と貧困、少子高齢化、科学技術の衰退など、これからの日本にとって目前に迫る重要課題も残した。いずれも私の子や孫の時代を心配しながら書いてきた内容でもあるが、若い世代が智恵を出し合ってこれからの難局を乗り越えて行く際の小さなヒントにでもなってくれることを願っている。最後に、本のカバーとカットをデザインしてくれたデザイナーの息子にも感謝したい。
                              2021年8月 猛暑とコロナとオリンピックの夏に
■著者略歴
軍司達男(ぐんじ たつお)
1968年東京大学都市工学科卒業、NHKに番組ディレクターとして入局。主に科学番組のドキュメンタリー番組で、地球環境、原子力、技術立国、医療、生命科学などをテーマに制作。
関わった番組は、「原子力 秘められた巨大技術、第2回安全はどこまで」、「いま、原子力を考える」(1981年)、「原子炉解体」、「いま 原子力を問う」(1989年)、「地球汚染」、「地球は救えるか」(1989年)など。2005年から個人的なウェブサイト「メディアの風」を主宰。